2016年9月7日水曜日

【北朝鮮旅行記3】虹色の夢


こちらは朝鮮。平壌国際空港です。
(写真は出国前に撮ったものですが…)



高い高い空の上を飛んでいた飛行機も、次第に高度を下げ、見えてきました北朝鮮の大地。
見渡せば険しい山、平地は一面田んぼ。日本は稲刈りシーズンに入りましたが、朝鮮もそろそろ稲刈りが始まるでしょうか?
ぽつぽつと質素な家や、立派そうな道路が伸びているのも見えます。

そして…平壌国際空港の第2滑走路が見えてきました。これを横目にスルーして、ターミナルのすぐ目の前にある第1滑走路を使うようですね。YouTubeで見かけた何年か前の平壌国際空港への離着陸の映像では第2滑走路を使用していることが多かったのですが、ターミナルが新しくなったから第1になったのでしょうか?
さあ、ついに着陸するぞ…と、高度がずいぶんと下がったその時…エンジンが再びうなり声を上げ、飛行機は再び高く空へ!
どうやら天気が悪くて着陸やり直しになったようです。窓の外は雨。飛行機は遥か上空で大きく旋回をし、再び滑走路へ。今度は無事着陸できました。


平壌国際空港の国際線発着ターミナルにして、現在主力となっている第2ターミナルは去年の7月に竣工した新しい建物です。
いやぁ、ホントきれいな建物で…飛行機を下りて建物の中に入った瞬間、感動に包まれました。
ところで…「Transit(乗り継ぎ)」のゲートがあったんだけど、これを使う日は来るのか!?平壌発の国際線は確か多い日でも1日に3便くらいしか出てないはず…
仮に使う日が来たとしても、北朝鮮で乗り継ぎとかちょっと嫌だなぁって人が多いと思うから…
まあ乗り継ぎのゲートはたぶん永久にゴミだな!

入国審査はササッと済みましたが、税関が…細かく検査しすぎ!長い!
全員もれなくスーツケースを開けさせられます。日本の税関はそんなことしないよ!なんかやっぱそういうとこおかしいんだよなぁ、この国。
しかも持ってきた3DSをめっちゃチェックされて…
「これは自分で遊ぶために持ってきたのか?」

…………????
ハァ~~~~~~~??????

当たり前だろ!他に何の目的で持ってくるっていうんだよ!?アホなのか!?
まさかこの国は外国産のゲームが入り込むだけで潰れかねない国だとでも?

…はぁ~、そうかそうか。もうせいぜい頑張ってくださいねってかんじですわ……

それで、3DSはなんだかんだ普通にOKだったのですが…
なぜか3DSのゲームカードを出国までの間預かるとか言ってて。
バ~~~~~ッカじゃねぇの!!??
正直言って、このへんは北朝鮮想像以上でした。悪い意味で。そんなに外人怖がるならもう鎖国したほうが良いんじゃないのって。思いましたね。

そんなこんなでガイドさんと合流し、空港を離れ、平壌へ。平壌へ向かうまでの間、道路沿いにいくつ将軍様の絵があったか…日本でコンビニを見かけるペースと良い勝負です。

そして、夕食の場所へとやって来ました。夕食の会場は、遊覧船「ムジゲ号」。「ムジゲ」とは、「虹」という意味です。
きらびやかでしょう?中はレストランや宴会場になっていて、美味しい料理やお買い物、美味しいお酒やコーヒーが楽しめるのです。宴会場では結婚式なんかもできるんだとか!素晴らしい場所でしょう!なにせ、「総合サービス船」ムジゲ号ですから!
まさにムジゲ。まさにレインボー。この場所には夢がある。十人十色の笑顔が、七色の夢と喜びが花咲いている。それがこのムジゲ号なのです!

(それは本心で言ってるのか?という質問にはノーコメントです)

後日明るい時に別の場所から撮ったものです

さて、皆さんにお聞きします。このムジゲ号にはある重大な秘密というか…欠陥というか…そういうものがあります。それは何でしょうか?


正解はですね…
「動いたことがない」
そう、橋に繋がれたまま、この場所から動いたことがないらしいのです。

っていうのをこの船の従業員さんとガイドさんが何か言ってて…従業員さん曰く、「動こうと思えば動ける」らしいのですが。
じゃあ、動こうね。としか言えない。
なんか高くて橋をくぐれないとか言ってましたが…なんつーかその…うん……

さて、気分を変えてムジゲ号のレストランで出た料理をいくつかご紹介しましょう。
これは「大同江(テドンガン)ビール」です。北朝鮮曰く「国外の人々も絶賛し、各国のメディアが本当に美味しいと絶賛している」らしいのですが…
実はビールがあまり好きではない私ですが、せっかくだから飲んでみました。
これがですね…本当に美味しかった!というか、「ビールの美味しさ」というのがこの時初めて分かりましたね…!何と表現すれば良いのかよく分からないですが、まあ麦の味わいが深いってかんじでしょうか?
ガイドさん曰く、これには麦だけではなく米も入っているのだとか。
ちなみに大同江ビールは韓国でも一部のお店で売っているらしいです。きちんと韓国での検査を受けた上で流通しているので安心して飲むことができるでしょう。本当に美味しいビールでしたから、一度飲んでみる価値あると思いますよ!いや、ほんと。わりとマジで。

この写真の右側に写っているのは、ロバ肉のスープです。これは後々書きますが、北朝鮮では今の日本だと珍しい肉料理をいくつか食べました。
ガイドさん曰く、ロバは鳴く時に空を見上げることから朝鮮語では「天牛(チョヌ)」と呼ばれているんだとか。そういうネーミング、結構好きです。
肉の味は…どうだったかなぁ。普通に美味しかったので特別印象に残っていないというか…たぶん牛肉とかとさして変わらなかったんでしょうね。
ご飯と辛い薬味を入れて、口の中にかき込みました。
私が「辛くて美味しいですけれど、日本人、特に女性にはこれが辛すぎて食べられないという人も多いと思います」とガイドさんに伝えますと、ガイドさんは「朝鮮ではこれはまだまだ辛くないほうですね」とか言っていた気がします。
いやはや、北も南も辛いもの大好きなんですね。

これは見ての通り松茸です!ガイドさん曰く…
「朝鮮は松茸が名産ですね。日本は朝鮮に経済制裁を加えて朝鮮を苦しめようとしていますが…困っているのは日本のほうです。だって、朝鮮の美味しい松茸とか、アサリとか、日本は買えなくなりましたからね。」
…えーっと……自信満々だなぁ…
日本が北朝鮮に対して経済制裁を発動する以前、確かに日本には北朝鮮産の松茸やアサリが流通していました。アサリに至っては日本の世論が北朝鮮に対して厳しい目を向け始めた頃も、日本の砂浜にしばらく埋めてそれを掘り起こしたものを「日本産」として売っていた…なんていうニュースもかつて目にしたことがあります。
けどまあ、日本はいろんな国と交流がありますから、北朝鮮の松茸やアサリが手に入らなくなったからってなんだっていうのか…としか。
というのは置いといて。思えばここまでしっかりがっつり松茸を食べたのは初めてかもしれません。味付けはほんのり塩味の薄味で、松茸の味をしっかり味わうことができました。ほほうこれがマツタケ…良いキノコだわ…

その右奥に写ってるのはキャベツのキムチ。パリパリな食感で、韓国のキムチと比べると水っぽく、わりとあっさりと、「浅漬け」のようなかんじがします。けどしっかり辛味はあります。

それと、写真には撮らなかったのですがマグロの刺し身が出てきまして。(ちょっと凍ってた)
ガイド曰く…「敬愛する金正恩元帥様が人民達に美味しいマグロを食べさせようとお送りくださったのです。」
…へ、へぇ…そうかぁ…ありがたい、ありがたいね…。


そんなこんなで、晩ご飯は終わり。
せっかくですから、ムジゲ号の中の写真をいくつか載せましょう。

(クリックすると拡大します)

そしてムジゲ号を出て、ホテルへと向かいました。

北朝鮮の最高級ホテルのうちの一つ「平壌高麗(ピョンヤンコリョ)ホテル」

これがお部屋です!

平壌高麗ホテルは築年数が結構経ってると聞いたので、結構不安に思ってたのですが…いや、古いホテルって清潔にしてあってもなんかみすぼらしいことあるじゃないですか。それを心配してたんですが。その心配は消え去りました。清潔だし、意外に古さを感じさせない内装。特に一番そういう心配されがちなバスルームが本当に完璧な手入れのされようで。
古いホテルにありがちな異臭、カビ、黒ずみ、シミ、水垢等は見られず。カビ生えがちなカーテンも新品のようでした。
ちなみに便器と洗面台はTOTO。まだ日朝関係が良好だった頃に入ってきたんでしょうね。

そんなかんじで、今まで見てきたホテル(もちろん日本含む)と比較してもトップクラスに立派なホテルではあるのですが…
今の北朝鮮は電力不足が深刻で。電気ついてない廊下とか、電気ついてるけどそれでもちょっと薄暗いロビーとか…ハードウェアは素晴らしくても、そのへんがやや残念感あります。けどなんだかんだホテルでは4泊5日の間一度も停電には遭遇しませんでした。
ちなみに平壌高麗ホテルのお部屋は4ランクあって、私の泊まった部屋はこれでも最低ランクのスタンダード。上のランクのお部屋はパンフレットで見ただけですが…最高ランクのスーパースイートなんか、どっかの国の王様のお部屋みたいでした。ベッドが超豪華。その他設備も充実しているようです。あの部屋一泊おいくらなんだろ…

夜はガイドと一緒にホテル近くの平壌駅まで歩きました。というか、一人で外に出てはいけないのです。
「朝鮮は夜に女性が一人で出歩いても大丈夫なほど治安が良いんです!」と、ガイドが言ってただけに…どんだけ街に見られたくないものがあるんだよってかんじでしたね。そんなに治安良いなら外国人が一人で外出することを認めた方が良いアピールになりますよ?

偉大な領導者金正恩同志万歳!  栄光ある朝鮮労働党万歳!
と、書いてあります。

というわけでやってまいりました!夜の平壌駅でございます!
…あれ、なんか…この目で見た平壌駅はもう少し明るかったような気がするんだけど…写真だと暗い…

ここでガイドさんから注意!
「写真の中に将軍様の肖像画や銅像などが入る時は、欠けないようにしてくださいね。」
…は?なにそれめんどくせー。
周りに街灯(暗い)や旗があるだけに、場所を選ばないと将軍様が欠けるわ欠ける。

ちなみにこの写真で見て左手の方向にちょっとした広場があって、そこには大きなモニターが設置されており、朝鮮中央テレビの報道が流れていました。この日は潜水艦ミサイル試験発射成功のニュース。いつものおばちゃんアナウンサーこと李春姫(リ・チュニ)アナウンサーの威勢の良いアナウンスが響き渡ります。

そうそう…広場の片隅で何があったのかベンチにもたれかかってうずくまってるおばちゃんがいて…
しばらくしておばちゃんが立ち去ったその後には…ゲロが残されていました…酔っ払ってたんだね…

こうして朝鮮で過ごす最初の1日は終わりを告げたのでした。良い感じの寝心地のホテルのベッドでおやすみなさい。

0 件のコメント:

コメントを投稿