2017年1月17日火曜日

「世界で二番目に臭い食べ物」ホンオフェを食べてみた

皆さん、世界一臭い食べ物はご存知でしょうか。
これは結構有名ですから皆さんご存知かと思います。シュールストレミングですね。北欧で食べられているニシンを塩汁に漬けた保存食です。
では、世界で二番目に臭い食べ物は?なんと、これがアジアの食べ物なんですね。
世界で二番目に臭い食べ物。アジアで最も臭い食べ物。それが、韓国の珍味「ホンオフェ」でございます。
今回、これを食べてみる機会がありましたので、せっかくだからその感想をレポートしてみることにしました。

まずホンオフェとは
「ホンオフェ」と一言で言っても、実は指しているものが違うことがあります。
「ホンオフェ」は、ハングルでは「홍어회」と書き、漢字では「洪魚膾」と書きます。「洪魚」は日本語で「ガンギエイ」と言い、「膾」が刺し身を指します。要はエイの刺し身っていう意味ですね。
私もよく分からないのですが、日本では一般に「ホンオフェ」というだけで「臭い発酵食品」を指しがちですが、どうやら発酵してないものも「ホンオフェ」と言うようです。まあ、「エイの刺し身」って意味ですしね。
「ホンオフェ」は臭い食べ物として有名なわけですが、今の韓国では発酵していない、つまり臭くない「ホンオフェ」のほうが一般的です。臭い方のホンオフェは現在では韓国の田舎の方でしか食べられていないらしく、それ以外の地域では苦手な人のほうが多いようです。
かつては宮廷料理でもあり、現在でも一部の地方ではごちそうとされているようですが…今の韓国では、臭い方のホンオフェは「韓国を代表する」とは言えない程度の料理であると見られます。

ということで、「ホンオフェ」にも「臭いホンオフェ」と「臭くないホンオフェ」があり、現在の韓国では「臭くないホンオフェ」が一般的であることを覚えていただければ。
そして、今回私が食べようとしたのはもちろん「臭いホンオフェ」です。

さて、臭い方のホンオフェについての説明です。
ガンギエイには尿素が含まれているそうで、新鮮なガンギエイをツボに入れ、しばらく発酵させると尿素が分解されてアンモニアとなり、このアンモニアによって「臭いホンオフェ」が出来上がるそうです。
世界一臭い食べ物「シュールストレミング」は「ウ○コ臭い」と言われますが、対してホンオフェは「小便臭い」とされています。世界第二位と言われるその臭気ながら、シュールストレミングと性質の違う匂いのために肩を並べて語られることも…
その味・食感についてですが、骨や筋のコリコリした食感と、アンモニアの強い刺激が特徴だそう。発酵が進んだものは食べると涙が出て、口に入れて深呼吸すると失神することもあるという恐ろしい伝説さえあります…

さて、それではホンオフェの実食レポートに参りましょう…
私はこのホンオフェという料理を知ったとき、韓国で食べてみたい、と思ったのですが…せっかく安くない旅費をかけ、これまた安くないホンオフェが苦手な料理で美味しいと思えなかった!みたいなことがあっては嫌なので、東京で食べられるお店があると知り、そこで食べて見たのです。

今回行ったお店は「にっこりマッコリ」。東京を中心に数店舗展開する本格的な韓国料理のお店です。「いつもありがとうごじゃいます」というごあいさつが可愛らしい。韓国語にはザ行の音が無いので、韓国人の方が「ありがとうございます」というとだいたいこうなるのです。つまり真面目にしていても「ありがとうごじゃいます」と言っちゃうわけで…すごい可愛くないですか、これ?

さて、にっこりマッコリには「ホンオフェ」というメニューはありません。
ホンオフェの食べ方の一つ。豚肉やキムチなどとともに食べる「三合(サマプ)」というメニューの一部としてホンオフェが出てきます。

手前の薄黄色いものがホンオフェ

発酵とは、新鮮なままでは食べにくい食品を食べやすくするために行われることもあります。以前韓国に行った時に臭くない、新鮮なホンオフェを食べたことがあるのですが、皮や骨のゴリゴリジョリジョリした食感が非常に強く、特に骨については力を入れて「噛み砕く」必要があったほど硬かったです。
発酵のおかげか。いや、そもそも韓国で食べたものとは部位が違うっぽいから比較できないかもしれませんが、今回食べたホンオフェは「噛み砕く」ようなところは無かったです。コリコリとしていて、牛の腸を思い出します。それが少し軟骨っぽい歯ごたえになったかんじです。
それで、臭いなんですが…それが、このお店のものは全然臭わなかったんですよね。私は鼻が悪くて、特に悪臭に鈍いのですが…流石に「世界第二位」と言われる悪臭まで感じないほどではありません。


唐突ですが、これは北朝鮮・開城市にある高麗成均館そばの公衆トイレ。ここがマジでものっっっっっすごく小便臭くて…思いっきり息を止めて用を足した思い出があります…
ということで、このレベルの悪臭なら分かる私ですから、ホンオフェの臭いを感じないはずはないのです!

しかしながら、発酵していないわけでなないようで。口に入れたら、たしかにビリビリとすごい刺激が!ぬわ、すごい…

ところで皆さん、話は変わりますけれど、「辛味」の正体ってご存知でしょうか。
辛味というのは実際には味ではなく「痛覚」であり、甘味や苦味や酸味などとは性質が違うものです。つまり、「辛いもの」というのは「痛いもの」なのです。

そう、このホンオフェは…辛い料理ではないはずなのに、「辛さ」を感じました…!つまりこれを食べると口の中に痛みを感じるわけですよ…!それも激辛料理と同レベルのそれですね…!
しかしそこは激辛料理大好きなワタクシ、美味しく食べることができました。
おそらくこれがもっともっと発酵すると、強烈な悪臭とより強烈な刺激がそなわるのでしょう。とりあえず、にっこりマッコリのホンオフェは気に入りました!やはりそのうち韓国で本場モノのホンオフェを食べてみようと思います!本場モノはもっともっとヤバいんでしょうな…!

さて、「三合」として食べた時の感想。三合はこのクセの強いホンオフェを食べやすくするため考え出された食べ方だそうで、豚肉や酸っぱめのキムチとともにホンオフェを食べます。さて、その効果が功を奏しているかですが…
まあちょっとマイルドになっている気はしないでもないですが、相変わらず強い刺激はそのまま!そんなに効果は無いと思います!まああんまりマイルドにはなりゃしないけど、美味しいですよ!美味しいことには間違いないです!
お好みで奥側にあるにんにくや唐辛子も一緒に食べるのですが、唐辛子は刺激を強めるだけなので、辛いもの好きな人ならともかくそうでない人はやめておくべきでしょう…これをやってしまうと辛味なのかホンオフェの刺激なのか本当に区別がつかなくなります。

ということで、刺激の強い食べ物が好きなあなたには、新たな刺激としてオススメ。苦手なあなたには、正直オススメできない。それがホンオフェでございました。
そういえば私は…辛いものも好きですし、小さい頃虫刺され薬の「キンカン」の臭いを嗅ぎまくったことがありまして…まさにあれがアンモニアの刺激臭なわけですが、あれが結構平気だったのでそれもまたホンオフェが気に入った理由の一つだったのでしょう。



ところで、三合だけでは物足りなかったのでいっしょに冷麺も食べました。
今まで平壌、ソウル、新大久保で冷麺を食べてきた比較的ガチな朝鮮式冷麺ハンターかもしれないワタクシですが…
にっこりマッコリの冷麺は平壌のものに近い!ソウルで食べたものよりもです!
極めてあっさりとしていながら、薄いというわけではないこの絶妙な出汁の味!コシがやや強いけど、わりと素直に切れてくれる麺!本場で食べた平壌冷麺を思い出します!
平壌のものより後に残る甘味が強めだったり、平壌のものより麺のコシが強めですが、「本場のものとぜんぜん違う!」と言いたくなるほどのものではなく、全体として(麺について少々目をつぶれば)本場の冷麺に忠実と言える味付けにまとまっていると思います。今まで食べたものの中ではこれが最も平壌で食べた冷麺に近い味だと思います。

以上、食レポでした。

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