2019年9月11日水曜日

お絵描きをするならどのiPad? iPad選び方・使い方ガイド

画像はApple.com/jpより
この記事は『絵を描く人向け』のiPad選びガイドです。その他の用途の使い方での選び方はほぼ書いてないので絵を描かない方は他を当たりましょう。

※※※以下2019/09/12追記※※※
途中、当初の記述内容の誤りの訂正のため追記があります。
一度読まれたことがある方はご確認ください。
※※※以上2019/09/12追記※※※

さて、本日9月11日、日本では朝から新型のiPhone、「iPhone11」の話題で持ち切りでしたが、絵を描く人々の間では新型のiPad(第7世代 iPad)のほうが話題になっていたように思います。
TwitterでiPadが気になっている方何人かに勝手にアドバイスして回っていたのですが(勝手にアツアツのツイートしてすみませんでした)、そこで感じたのは絵描きがどのiPadを買うべきなのかの情報はまだ意外とインターネット上には少ないのだと思いまして、こうしてここにまとめてみることにしました。
さて、長々した文章を読むのも嫌でしょうから、最初に結論を書きます。
『印刷する絵を描くならiPad ProかiPad Air(第3世代・2019年発売)、そうでなければどれでもOK』
です。
以下、理由を書いていきます。(最後に留意点書いてるので結論で読むのやめようとしてる方も最後の方だけは読んだほうがいいかも)

まずこの結論は私の経験に基づくものですが、私がiPadでのお絵描きを始めたのは2018年発売のiPad(第6世代)から。
iPadでお絵描きをするにはApple Pencilが必要ですが(一応他社のペンもありますが)iPad(第6世代)が発売されるまではApple Pencilの対応機種はiPad Proしか存在せず、安いモデルでもおよそ10万円するiPad Proを買うしかありませんでした。
そんな中、初めてPro以外のモデルでApple Pencilに対応したiPad(第6世代)が発売、しかもこのiPadは本体のみで約4万円、当時約1万5千円のApple Pencilと合わせても6万円ほどで絵描き憧れの液晶タブレットでのお絵描きに手を出せる、革命的な一品だったのです。
この値段ならこれがお絵描きに向いてなくても諦められる金額だわ…と、私は意を決して買ってみます。
これが結果、すごくよかった!
Appleの謳い文句通りに、まるで紙に鉛筆で字を書くようにラグが感じられないApple Pencilの反応、パソコンでは重かったブラシやエフェクトを軽々処理してしまうパワー、何より手の動きと描画が同じ場所で起こる液晶タブレットの良さ。それまでパソコンにペンタブレットを繋いで絵を描いていた私は、一瞬にしてiPadでのお絵描きに移行していきました。

しかし問題が無かったわけではありません。私は特に絵の仕事をしているわけでもなく、同人誌を出しているわけでもないのにA4-300dpi以上でイラストを描く癖があったのですが、この解像度だと、レイヤーが増えてくると(ちゃんと数えてないけど30レイヤーくらい?)時々アプリがフリーズしてしまう。(数秒止まる程度で、エラー落ちすることはほとんどありませんでしたが)
レイヤーが少なければ快適で、レイヤーが増えると重くなる。「これはメインメモリ不足に違いない」と感じました。

Appleが公表していない数値ですが、iPad(第6世代)の心臓部である「A10 Fusion」チップのメインメモリは2GB。最近のパソコンではまともに動くことすら難しい容量で、iPadはたったこれだけのメモリでもこんなに快適に動くのかと驚いたのですが、300dpiでお絵描きするには難しかった、ということで。
あ、念のため解説ですが、「メインメモリ」とは32GBとか64GBとか128GB、iPad Proだと1TBまであるんだよ~とか言ってるアレとは別の物です。(そっちはストレージと言います)
iPadのメインメモリの容量は、同世代の同シリーズのモデルであればストレージの容量に関わらず全て同じです。具体的に例えて言えば、iPad(第6世代)はストレージが32GBでも128GBでもメインメモリの容量は2GBです。
…全て同じだったはずなのですが、2018年モデルのiPad(第3世代)はなぜかストレージ1TBモデルだけ2GBも多くメインメモリを積んでいます。もちろんAppleは公表してないよ。

メインメモリはコンピューターが作業をするための領域、ストレージは今すぐには使わないデータを保存するための領域です。メインメモリは机に、ストレージは引き出しや棚に例えられます。メインメモリは単に「メモリ」と言うことが多いです。
ちょっと話が逸れましたが、つまり300dpiでお絵描きをするには通常モデルのiPadはメインメモリが足りないのです。頭は良くても作業机が狭かった。そんなかんじです。逆に言うと、そこまで高解像度でお絵描きしない限り不自由したことは無かったです。

と、iPadに満足しつつも不足を感じていた私に2018年11月、ステキなニュースが飛び込んできます。
iPad Proの新型発表。第3世代iPad Proと呼ばれるそれに搭載されるチップは「A12X Bionic」。相変わらずAppleは公表しませんが、メインメモリは4GB積んでいます。(なぜかストレージ1TBモデルだけ6GBも積んでるらしいぞ!)
買うしかねぇな。
そう思い、買ってから数か月しか経ってないiPadとApple Pencilを中古屋に売り、それを元手にしてiPad Proを買います。
ん?なんでペンまで売ったの?って方。第3世代iPad Proと同時に、Apple Pencilの新型も発表されました。それは「第2世代Apple Pencil」と呼ばれ、2019年現在では第3世代iPad Pro専用モデルとなっています。この時、それまでのApple Pencilは「第1世代Apple Pencil」と呼ばれるようになりますが、第3世代iPad Proは第1世代Apple Pencilに対応しておらず、ペンまで買い替える羽目になったのです。
ちなみに、第2世代ペン発売と同時に第1世代ペンはおよそ5000円値下げして約1万円になりました。ProでないほうのiPadでのお絵描きにより手を出しやすくなったと言えます。

…で、iPad Proは期待通り、A4-300dpiでお絵描きをしてもさっぱりメインメモリが不足する様子を見せず、実に快適にお絵描きできています。
が、さすがに限界が無いわけではなかった。この前実験としてA4-600dpiでお絵描きしてみましたが、やはりレイヤーが増えると(ちゃんと数えてないけど50レイヤーくらい?)、数秒止まる時があります。
…が、ここまでする人いないでしょう。…いないよね?
あ、なぜかストレージ1TBモデルだけ6GBも積んでるらしいぞ!

さて、そうしてすっかりiPad Proに満足した私に2019年、またも情報が飛び込んできます。
iPad Airの新型発表。
iPad Air(第3世代)と呼ばれるこのiPad Airは、iPad Airシリーズとして初めてApple Pencil(第1世代)に対応。これだけなら「別にiPadでいーじゃん?」と言えましたが、なんとこいつは「A12 Bionic」を搭載。iPhone XS,XRと同じチップで、iPad Pro(第3世代)に搭載されている「A12X」のベースになったチップ。どちらもメインメモリの容量は同じ4GBです。

※※※以下2019/09/12追記※※※
A12 Bionicの搭載メインメモリは、iPhoneXSでは4GBでしたが、iPhoneXRとiPad Air(第3世代)では3GBでした。申し訳ありません。
それを踏まえた上で、冒頭で述べた結論や以下の見解には今のところ概ね変わりはありません。
※※※以上2019/09/12追記※※※

言うなれば、A12XがA12に毛が生えた程度のやつなので、逆にA12はA12Xから毛が抜けた程度のもの、つまりiPad Air(第3世代)は簡単に言うとiPad Pro(第3世代)から毛が抜けた程度のものだったのです。
iPad Airのほうは電気屋でちょっと触ったことがある程度なので未検証ではありますが、ここまでの経験からしてiPad Air(第3世代)とiPad Pro(第3世代)はお絵描きをする上での性能上の違いはごくわずかしかない可能性が高いです。

※※※以下2019/09/12追記※※※
メインメモリの容量の違いについては、Windows版のClip Studio Paintでのメモリ消費量から推測するに、300dpiで絵を描く以上は支障が出るようなものではないというのが当方の今のところの見解です。
600dpiでは相当早くに違いが感じられるのではないかと思われます。
※※※以上2019/09/12追記※※※

毛が抜けただけのiPad Proというほどの性能があるのに、お値段はおよそ6万円。
こんなの、iPad Proというものを知らなければ間違いなく買ってる。
ただ、一応違いはそれだけではありません。iPad Air(第3世代)の対応Apple Pencilは第1世代のほうで、相変わらず第2世代はiPad Pro(第3世代)専用機のままでした。
第1世代Apple Pencilはおしりのほうにコネクターがついていて、それを保護するためのキャップもあるのですが、まあこのキャップが非常に失くしやすい失くしやすい。あと、重心の位置がペンとしてはちょっと不自然かも、と今にして思います。
それと、第2世代Apple PencilはiPad Pro本体の側面にマグネットでくっつくのに対して、第1世代にはそういう機能は無いです。
つまり絵を描く上ではProにするかAirにするかは新ペンと旧ペンのどっちが良いか?という問いになってくるわけですが、より高機能なペンだけのためにProを選ぶ価値は…無いと言う人が多いのではないかと思います。やっぱりAirはすごい。


と、ここまで理由を述べたうえで、もう一度結論をおさらい。
『印刷する絵を描くならiPad ProかiPad Air(第3世代・2019年発売)、そうでなければどれでもOK』
はい、ここまでお読みになった方々、お疲れ様でした。いかがでしょう?参考になっていれば良いですが。
あ、そういえば。今日(2019年9月11日)発表されたiPadって結局どうなの?と言いますと。
これは第7世代iPadということになりますが、搭載されているチップは第6世代と同じA10 Fusionとのことなので、この結論に変わり無しです。ただ、大きくなったそうなので、お絵描き入門機としては第6世代よりさらに魅力的になったと言えると思います。

さて、最後に、iPadシリーズでお絵描きを始める時の私なりの留意点をおまけに書いていきます。
基本的にClip Studio Paint(クリスタペイント)を前提としたお話です。
iPhoneやiPadのようなiOS端末は外部とのファイルのやり取り、特に入れるほうについてパソコンと比べて難がありますが、これはiOS版クリスタでも同じです。
Windows版やMac版でテクスチャやブラシをよそから持ってきて入れていた方々は、まずここでかなり悩むことになると思います。
が、クリスタペイントにはクラウド同期機能があり、いろいろなファイルを複数の端末間で共有し、同じ状態にすることができます。ので、iPadお絵描きに移行してもパソコン版のクリスタペイントにはお世話になるかと思います。つまり、PCで入れて、クラウドで同期して、iPadで使う、という運用形態です。
そしてもう一つ。細かいやり方は書きませんが、iOS版のクリスタペイントは画面に触れた時の動作を指で触れた場合とApple Pencilで触れた時(おそらく他メーカーのペンには対応しません)で分けることができます。これはまず分けたほうが間違いなく良いですし、あとは指で長く触れた時の動作をスポイトにするのがオススメです。
大変地味な設定ではありますが、この機能は私がiPadお絵描きを気に入った大きな理由の一つです。

あともう一つ!
「欲しいけど、あとちょっとお値段どうにかならん?」という方は、以下をチェック!
あまり知られていませんが、Appleは『整備済製品』と言って、いわば「公式中古品」を販売しています!
もしかしたらお目当てのモデルが安く見つかるかも…?中古にしてはお高いですが、Appleが直々に修理・整備していて、しかもAppleの保証付きという安心感を考えれば納得ではないでしょうか?
ここで注意していただきたいのは、間違ってApple Pencil非対応モデルを買わないこと!
Apple Pencilに対応しているiPadファミリーは2019年9月現在、以下の通りです。
  • iPad Pro全モデル(第3世代は「第2世代Apple Pencil」に対応、それより前のモデルは「第1世代Apple Pencil」に対応)
  • 第6世代以降のiPad
  • 第3世代のiPad Air
  • 第5世代のiPad mini(サイズ的にお絵描きには向かないと思います)

買う前によく確認してくださいね!
「iPad Airはペン対応してるんだよね~!」などと軽い気持ちで第2世代のiPad Airなんかを買ってしまうと、コネクタだけはささってしまうApple Pencilがうんともすんとも言わずに泣く羽目になるのでお気をつけください!

…さて、長くなりましたが以上、絵描きのiPad選びガイドでした!
お役に立ちますように。

リンク:
Apple(日本):https://www.apple.com/jp/

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